先日、諏訪湖を訪れたとき、自然のダイナミックな営みに驚かされた。
ゴゴゴ‥と30秒ぐらいの間隔で湖から鳴る轟音。
一体何の音だろうかといぶかしんでいると、なんと凍った湖面が割れるときに発する音らしい。
なんでも諏訪湖には、「御神渡り(おみわたり)」という文化があって、諏訪市博物館の解説によると‥
冬になると湖面が全面結氷し、寒気が数日続くことで氷の厚さが増してゆく。
そして昼夜の温度差で氷の膨張・収縮が繰り返されると、南の岸から北の岸へかけて轟音とともに氷が裂けて、高さ30cmから1m80cmくらいの氷の山脈ができる。
これを「御神渡り」と呼び、伝説では諏訪神社上社の男神・建御名方神(たけみなかたのかみ)が下社の女神・八坂刀売神(やさかとめのかみ)のもとへ通うときにできる恋の道筋といわれている。
ダイナミックな自然現象に雄大なロマンを宿す昔の人々の想像力は本当に素敵だなあと思う。
さらに、諏訪大社にゆかりの深い八剱神社の神職が湖の氷の状態や亀裂の具合でその年の吉凶を占うという。
なんと、その記録は500年以上にも渡って残されているらしい。すごいなあ。
ただ、地球温暖化の影響や湖の富栄養化により、近年は全面結氷することが減り、御神渡りができない年が増えているらしい。
うーん悲しい‥。
今年もまだ御神渡りは起こらず、僕が訪れたときも一部が凍っているだけだった。
それでも、薄くスライスされた氷が積み重なったところに太陽の光が反射して、まるで宝石のような神秘的な煌めきに出会うことができた。
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