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芸術家は弱き者の代弁者

源頼光公舘土蜘作妖怪図

優れた芸術家は、人々のモヤモヤした気持ちを代弁し、心の拠り所となるようなシンボルを生み出す。

幕末期に活躍した浮世絵師・歌川国芳は、反逆精神が旺盛で度々幕府に睨まれような果敢な作品を創った。

源頼光公舘土蜘作妖怪図

天保の改革によって庶民の娯楽や経済活動が大幅に制限された時代、国芳の「源頼光公舘土蜘作妖怪図」が飛ぶように売れた。
最初はそんなに注目される作品ではなかったが、あるとき病床の頼光を将軍家慶、碁を打つ四天王を老中・水野忠邦たち、そして悪政によって苦しむ庶民を妖怪として描き風刺がこめられているという解釈が広がり、たちまち世間の話題となり喝采を浴びた。

朝比奈小人嶋遊

ほかにも国芳は、大名行列を見下すような「朝比奈小人嶋遊」、黒船来航にあわてる幕府要人たちを風刺した「浮世又平名画奇特」といった際どい風刺作品をつくり、幕府の悪政を批判する気運を高める一翼を担った。

やがて、天保の改革は諸大名や庶民の反感が最高潮に達し失敗に終わった。

ちなみに、国芳には梅屋鶴寿という強力なパトロンがいたらしい。
彼は国芳に、経済的な支援のみならず、助言やアイデアも授け多いに助けたらしい。

もしあなたが社会を変えたいと思うなら、その第一歩は、みんなが共感できるような強烈なシンボルを創り出すことかもしれない。

参考書籍「浮世絵師 歌川国芳展」(展覧会図録)

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