出展余談

「御苗場vol.18 横浜」を終えて

御苗場vol.18 横浜

18回目の開催を迎えた大規模グループ写真展「御苗場」。
僕自身は2回目の出展だったけれど、例年横浜ではパシフィコが会場となっていた。
今回、大さん橋ホールに会場が移ると知ってどうなるかなあと思っていたけれど、結果的にはすごく良かったと思う。
後日振り返るために、感じたことをざっと書き留めよう。
 

展示環境について

すっかり横浜の観光名所となった大さん橋。
屋上部分で海風を浴びながらぼっーとするのが気持ちいい。
ホールまでのワクワクするアプローチ、海に囲まれた非現実感。
アートの世界に入り込む舞台装置としても面白いなあと思った。
ホール自体の明るさはちょっと暗めだけど、美術館って考えたらまあじっくり観ていくには僕はちょうど良かった。

大さん橋

ピーク時には通路がぎゅうぎゅうになってしまったけれど、出展希望者をできるだけ出展させたいという想いと、できるだけ通路幅をとってゆっくり鑑賞できる環境をつくりたいという想いのバランスをとれば、まあこれが現実的かなあと思う。
作品を引っ掛けてしまう人がいるのではないかとハラハラするけれど。

御苗場vol.18 横浜

客層は老若男女、幅広かった。
パシフィコ横浜会場からのシャトルバスは、時間帯によってはすごく混んでいて大変だったみたい。

御苗場vol.18 横浜
 

レビュアー賞受賞作品と評価された点

残念ながら今回、僕の作品はノミネートすらされなかったけれど、これを悔しさにまた頑張ろう。
ステージ上で語っていたことをもとに、各レビュアーの評価ポイントを僕なりに書き出してみた。

・加藤基さん(No.232 岩野 麻子さんを選出)
企画性、ニュース性があり、この先伸びていくテーマである。

・後藤由美さん(No.96 Fuuさんを選出)
写真がもつ「再発見としての記録」を上手く駆使していた。
(後藤さんが後に受賞作となるFuuさんの作品に対面する場面をたまたま目撃したのだけれど、駆け足で通路を歩く中、突然ぱっと立ち止まりじっーと見入っていらっしゃった。これこそが直感的な出会いなのかとひとり感動。)

・小林正明さん(No.91 三木 康平さんを選出)
透き通ったテーマ性をもち、丁寧に撮影されている。

・小松整司さん(No.40 Yukiyoshi Taniguchiさんを選出)
新しい可能性を秘めている(もう一つ同等に選びたかった渡邉さんの作品は、ステートメントに作家としての覚悟や真剣さが感じられた)。

・タカザワケンジさん(No.S07 奥 彩花さんを選出)
展示のアイデアが素晴らしい。見てきたようで見たことがない作品。頭の中の観念がきちんと作品として視覚化されている。"写真観"を揺るがす作品。

・寺内俊博さん(No.S07 奥 彩花さんを選出)
優しさがストレートに伝わる表現力。時空のインスタレーションのような展示方法。

・テラウチマサトさん(No.S17 齊藤雄己 さんを選出)
あたたかさ。写真が昔から愛されてきた理由を秘めている。
 

僕の作品について

今回、僕は御苗場に向けて、11月ごろから取り掛かったプロジェクトがあった。
しかし、展示1週間前まで粘ってみたけれど全然納得のいく方向にもっていけなかったので御苗場での展示は取りやめた。
その要因としては、プロジェクトの始動理由が何となくこんな仕上がりの作品が出来たら面白いんじゃないかという短脈的なところにあったと思う。
やはり、自分の心の底からふつふつと煮えるような強烈な”リアリティ”がないと、作品として僕がつくる必然性も薄れるし、何より創作のテンションが続かなくなってしまう。
前作の「Mother」では、ブラックスワンの母親の勇姿に心がしびれた。
時間にしたら一瞬の出来事だったが、そのしびれは今も心にはっきりと残っている。
今後の制作は、焦らず、そういう強烈なリアリティを抱いてからじっくりとプロジェクトを発展させていこうと思う。

穴をのぞきこむ人々

代わりに出展したのは、「穴をのぞきこむ人々」というタイトルをつけた作品。
残り1週間で何を持っていこうかと思案して過去のネガを見返していたら、同じところで何カットも撮っている写真があってなんだろうと思ったのがきっかけ。
撮っているときは深い理由がわからなくても、日を置いて見たときにああそうか!とぴんと来ることがある。
といことで、今回はそんな発見をシンプルにまとめて展示した。
穴と人間の関係性から人間とは何かと掘り下げようという試み。
今後さらに撮影を進めれば面白くなるとは思う(けれど正直今のところ、このテーマを優先して進めるかは検討中‥。もっと何というか、ふつふつするような尖ったものや現代社会に立ち向かうようなものに今は取り組みたいんだよなあ‥)。

ご鑑賞いただいたお客様からコメント帳に素敵なご感想をいただいたのでちょっと紹介。

・すごくいい作品だと思いました。移り変わる場面に、その時の人達の穴をのぞきこみたくなる心情がそれぞれ伝わってきます。なんだか楽しくなりました! (T様)

・説明が無くても写真だけで伝えたいことが伝わる。視覚表現として完成され、かつシンプルで面白い視点です。(I様)

・見ていてユーモラスな写真ですね。まっすぐつっ立って見る人。思いっきりのぞきこむ人。軽くのぞきこむ人。そんな人達を一定の距離感で見ている感じが何ともいえずおかしみがあると思いました。(M様)

・おもしろいですねー!次々と穴に吸いこまれていくように見えました。スキな感じでした。(K様)

・シンプルで、「やるやる!」と思って吹いてしまいました!!こういう写真を撮れるのはすごいです。思ってもなかなか撮れるまでにならないです‥。(M様)

・おもしろい写真があったよときいて見にきました。なるほど、確かにこれは‥クスッとなる作品ですね。(K様)

全部載せきれないけれど、ご感想いただいたみなさま本当にありがとうございました!!
次回、より面白い作品をつくるので見捨てず待っていてくださいね。
 

今後の方針

御苗場を終えて、これから進めていくことをざっと紹介。

・表現したいこと・強烈な”リアリティ”を得るために本を読んだり、街を歩き回ったり、美術館に行ったり、人と話したりetc。日々、自分の心と向かい合い、深いところで何を感じているのか探りブログに綴る。

・制作フローの見直し。より自分の作家活動でクリエイティブな部分にエネルギーを集中できるようにする。より理想的なモノクロプリントがつくれるように研究する。

・作品の制作を進め、ポートフォリオレビューやレビュアーのいるグループ展などに出展して、コマーシャルギャラリーの方に観ていただく。コマーシャルギャラリーと契約し、ギャラリーでの展示・販売を目指す。

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