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富士山が秘めるアンビバレントな魅力

富士山

先月、ローライフレックスとともに富士山に登ってきた。
山小屋に一泊して、ご来光や満点の星空などダイナミックで幻想的な自然を存分に味わうことができた。

ご来光

驚いたのは、夜間でも結構多くの人がヘッドランプを灯して登っていくこと。
また、日本最高峰の石碑の前で記念撮影をするためにかなりの行列ができていたことにもびっくりした。

なぜ、富士山はこんなにも日本人から愛されているのだろうか。

富士山が人を魅了する理由

星空

そのひとつに、富士山が秘めるアンビバレントな魅力がある。

富士山は見る場所、季節、時間によってさまざまに変容する。たとえば、稜線の姿ひとつとっても、静かな朝夕に棚引く彩雲の富士山は、秀麗でやさしく女性的、強風に吹かれて稜線を駆けのぼる乱雲や雪嵐の富士山は、勇壮で雄々しく男性的だ。
また、遠望するなだらかな稜線はしなやかで女性的で、登山中に見るごつごつした火成岩の稜線は猛々しく男性的なのである。
富士山の守護神に目を移すと、古代より噴火を鎮護する浅間大神(あさまのおおかみ)であるし、中世からは浅間大菩薩(せんげんだいぼさつ)であるが、これらは、基本的には男神とされる。その一方で祭神は、中世までが赫夜姫(かぐやひめ)、近世以後は 木花開耶姫命(このはなのさくやびめのみこと)と、こちらは女神である。富士山は両性を兼備した、つまりは両性具有の稀有な山であり、その「高さ」だけでなく、こういった性格も万人が好む根拠のひとつであろう。
(竹谷靱負『日本人は、なぜ富士山が好きか』2012「第一章 富士山は、両性具有の山である」P22より)

さらに、富士山は両性具有なだけでなく、霊妙で崇高な神の山である一方、メジャーな観光地と化し夏ともなれば登山客がわんさか押し寄せる大衆性もあわせもっている。

そう、富士山は女性的でありながらも男性的であり、崇高でありながらも通俗的なのである。
この相反する性質を絶妙なバランスで保つことで、富士山の魅力は多層化し、オンリーワンの地位を獲得している。

思えば、これは僕が作品づくりをする時、目指すところでもある。

富士山頂のローライフレックス

そして、日本一高い場所3776mにたどり着いたローライフレックス。
お疲れ様でした。これからもよろしくお願いします。

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