日常に退屈しちゃうと、人はどこか遠くへ旅に出たくなる。
遠くへ行けば新しいものとの出会いがあり、大きな発見があるはずと期待する。
確かにそうなんだろう。
僕もじっとしているのは苦手で、とにかくどこか遠くへ行かなきゃという衝動に駆られていた時もあった。
だけど、フィルムカメラを相棒に選んだことで、フィルム代が旅費を圧迫し、予算的に遠くへ行くことが厳しくなった。
そうしたら、自分の近くの街を徘徊して撮影するしかない。
見慣れた街に一体何があるというのだろうか。
最初はそんな嘆きもあったけど、観察すれば観察するほど、自分は何も見ていなかったことに気がついた。
標識に貼られた奇妙なシール、寂し気に灯る夜間工事のカラーコーン、縛り付けられたまま忘れられた風船。
街は実に興味深い物語であふれている。
”人は自分の見たいものしか見ない”
これは本当に大事な真理だと思う。
見慣れた街に、どんな見慣れないものを見つけようかという心意気があれば、たとえ遠くへ旅に出なくても、存分に非日常的なわくわくを得られるんだ。
お気に入りのカメラをぶら下げて、街の深いところを旅しよう。
カメラ:Rolleiflex 2.8F
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